京都文教大(京都府宇治市)が大学では全国初となる「産業メンタルヘルス研究所」を4月に開設したところ、企業や自治体から問い合わせが相次いでいる。職場での「うつ病」増加が社会問題になる中、専門家が現場に出向いて新入社員への予防や管理職への対応研修、復職支援などを行う点が注目されているようだ。
同大は1996年に日本で初めて臨床心理学科を開設。教育、福祉、医療分野で活躍する多くの臨床心理士や精神保健福祉士らを養成してきた。産業分野でもメンタルケアの臨床活動を広げ、専門家養成や研究にもつなげようと、同研究所を設けた。精神科医や心理士を中心に、副所長には企業の人事部門経験者を招いた。
個人カウンセリングを行う同大心理臨床センターとも連動させ、企業などに出向いて▽職場ストレスとのつきあい方や心の健康に向けた社員研修▽うつ病の見分け方など管理職向けの研修▽相談体制や復職支援プログラムの開発−などを行う。大学が昨年末に東京と京都で催した「研究所開設記念シンポジウム」から問い合わせが始まり、すでに複数の企業や自治体からの依頼を受けている。
警察庁のまとめでは、昨年の自殺者約3万3000人の2割弱はうつが原因という。
研究所所長の島悟教授(精神医学)は「日本は産業カウンセリングの分野が遅れており、質にも差がある。特に中小企業はほとんど手つかずだ。休職している人だけでなく、心の病気にならないような対策に力を入れ、社会に産業メンタルヘルスのモデルを提示したい」と話している。
(7月3日 京都新聞)

